進化する糖尿病治療法

食物繊維を増やすと血糖・血圧・脂質を同時に改善できる

豆腐、野菜、ナッツ類には食物繊維が豊富

 とはいえ、個別に数値を見ると、夏と冬で達成率に大きな差があるわけではありません。

 ところが血糖、血圧、脂質の3つすべてが目標値に達成しているかどうかで見ると、夏の達成率は15・6%で、冬はさらに低く9・6%しかいない。血糖の条件を「8%未満にする(本来は7%未満)」と条件を緩めても、血糖、血圧、脂質の3つすべて目標値に達成しているのは夏で23・7%、冬で15%だったのです。

 前述の通り、動脈硬化の進行を止め、ひいては心筋梗塞や脳卒中など心・脳血管疾患のリスクを下げるには、血糖、血圧、脂質をいずれも基準値範囲内に保たなければならない。1つは低くても、ほかの2つが高ければNGなのです。治療目標値に達成しやすい夏ですら15・6%または23・7%と低く、冬においては9・6%または15%というのは、多くの2型糖尿病患者の方が、動脈硬化対策をきちんとできていないということになります。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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