更年期を知って夫婦円満

家事好きの夫と家事が不得意の妻。更年期をきっかけに…

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 祖母から受け継いだレシピで梅干しを漬けるのが趣味のSさん(男性・50代後半)。平日はバリバリと仕事をし、休日は料理や洗濯などの家事に時間を費やす。毎週、どんな料理を作ろうか考えるのが楽しみだと言います。

 Sさんは早くに父親を亡くし、働く母、祖母、叔母と一緒に暮らし、家族みんなで家事をする環境で育ったこともあり、家事は全く苦ではない。一方、妻はもともと家事が得意ではなかった。

「それでも、“家事は女性がするもの”と心のどこかで思っていたんですね。妻が家事を担当するのが当たり前だと、長く思ってきました」

 ところが、妻が更年期を迎えたことで、その“当たり前”が変わりました。不調で苦しむ妻を見かねてSさんが家事をしたところ、家族の反応がいい。「パパの料理すごくおいしい」「洗濯物を畳むの、パパの方が上手」と妻も娘も喜ぶ。そんな家族の反応はこれまで見たことがないもので、Sさんはうれしさを感じるとともに「男が家事をやったっていい」と思うようになったそうです。何より、家事が好きな自分に気付いたSさん。少しずつ“家事率”を増やしていき、「休日はSさんが家事担当」という今のスタイルに自然に至ったのだとか。

 妻より家事が上手な男性の話は周りでもよく聞きます。知人の夫は整理整頓が得意で、趣味がDIY。お手製の作り棚で押し入れは無駄なくスッキリ整えられています。我が家も普段の料理は私が担当、そして、クリスマスや正月は夫が料理担当。プロのレシピを忠実に再現する夫の料理は来客者にも評判が良かった。

 お互いに男だから、女だからと役割を決めつける方が、夫婦にとっては窮屈。Sさんも「閉経で落ち込む妻の慰め方は分からないけれど、家事を担うことはできる。それに家事をするようになって、家族とのコミュニケーションが増え、元気になったのは私の方かもしれません」と言います。

 更年期をきっかけに新たな夫婦関係、家族関係を築いていけることもある、と改めて感じました。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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