がんと向き合い生きていく

手術が年明けに…患者は年末年始をどんな気持ちで過ごすのか

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 毎週、各科が集まってのカンファレンスで、12月になると気になることがあります。新しくがんと診断された患者についてです。

「12月中の手術予定はいっぱいです。手術は年が明けてからになります」 こんな感じで、実際に手術が1月下旬になることもあります。

 もちろん、中でも進行が速いと判断されるがんは早く手術予定が組まれます。ただ、固形がんは普通はそんなに速く進行はしませんから、治療上は問題ありません。それでも、「手術予定が新年になった患者は、この正月をどんな気持ちで過ごすのか?」がとても気がかりなのです。

 やはり落ち着かなく過ごすのだろうか? 中には「手術が終わって退院した時が正月だ」と気持ちを切り替える方もいらっしゃいます。しかし、心の奥ではとても気にしながら正月を過ごされるのだと思います。「できれば年内に手術を終えて退院して、晴れて正月を迎えたい」と誰しもが思うでしょう。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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