■かつては病棟でクリスマス会も
そんな忙しい中でも、私が長く勤務した「がん病棟」では、毎年クリスマスの1週間前のある日の午後にちょっとしたクリスマス会が行われていました。廊下に机を並べ、一人一人用意した紙の皿にショートケーキを置き、患者に座ってもらいます。そして、電気を消してろうそくをともし、ジュースを飲んだりケーキを食べたり、サンタクロースの格好をした看護師がハンドベルの演奏をしました。
そして12月24日の夜には、ろうそくを手にした看護師が「きよしこの夜」を優しい声で歌いながら、穏やかに廊下を回ってくれました。重症者の個室では、数人の看護師が患者のベッドの周りに集まり、小さな声で歌います。涙を流しながら聞いている方もいらっしゃいました。
宗教とはまったく関係ない病院でも、一時的だとはいえ多くの入院患者は「心の安らぎ」を得られたのだと思います。
がんと向き合い生きていく