医者も知らない医学の新常識

コーヒーは胸やけの原因 1日4杯以上でリスクがアップ

胸やけが気になる人は3杯くらいまでが安全
胸やけが気になる人は3杯くらいまでが安全

 苦いものが口の中に上がってきて、胸やけや胸の痛みが出たことはありませんか? これは胃食道逆流症の症状です。こうした症状を繰り返すのは、胃の入り口の部分に、何らかの原因で緩みがあって、胃酸が食道に逆流することによって起こるのです。

 その大きな原因は肥満ですが、高齢者では背中が曲がり、お腹が圧迫されても起こることがあります。胃食道逆流症の治療は、主に胃酸を強く抑える薬によって行われます。ただ、薬は副作用もありますし、長期間続けて飲まないといけません。生活習慣を改善することで、どこまでその危険性を減らすことができるのでしょうか? 

 今年の消化器学の専門誌に、普段飲んでいる飲み物と、胃食道逆流症の危険性との関連についての、興味深い論文が掲載されています。

 アメリカで看護師4万8000人余りを対象とした大規模な健康調査を解析したところ、コーヒー、紅茶、炭酸飲料をたくさん飲む人は、それぞれ30%近く胃食道逆流症のリスクが増加していました。

 その一方で、牛乳や水、ジュースを飲む人では、そうしたリスクの増加は認められませんでした。このコーヒーなどの飲み物によるリスクの増加は、1日4杯以上飲むと明確になっています。

 胸やけの気になる人は、コーヒーや紅茶は1日3杯くらいまでが安全であるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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