乾燥肌は長湯NG 高血圧は40度以下 医師に聞く体にいい入浴

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 寒い夜の風呂は格別に気持ちいいが、入り方によっては命の危険を伴う。体にいい入浴法はどういうものか? 国際医療福祉大学熱海病院検査部・〆谷直人部長に聞いた。

■体に負担をかけない湯温や時間は?

「疲れて帰ってきた夜、副交感神経を優位にしてストレスや足の疲れなどを癒やすには、“全身浴”で38~40度の湯に10~15分漬かるのがベターです。20~30分漬かるなら、心臓に負担がかからない半身浴がお勧めです。その場合は、37度くらいのぬるめの湯で。肩に乾いたタオルをかけると寒さを感じません」

■長湯はNG?

「30分以上の長湯は疲労の原因になるばかりか、肌の保湿成分である“油分”を失わせ、カサカサ肌を招きます。温泉でも長湯は避けた方がいいでしょう」

■高血圧にいい入り方は?

「高血圧の人は、血圧の急上昇、急低下が脳出血や脳梗塞・心筋梗塞の引き金になります。これらを防ぐために、湯の温度は40度以下を目安に設定し、暖めた脱衣所で服の脱ぎ着を。風呂場ではかけ湯をして体温を上げてから湯船に漬かるようにしてください」

■糖尿病で注意すべきは?

「インスリン注射や血糖降下剤を服用したら、しばらく時間を置いてから入浴してください。入浴で副交感神経が優位に働き、インスリンが分泌されやすくなるのに加え、血流が良くなって薬理作用が効き過ぎるようになり、低血糖を起こしやすくするのです。入浴で血糖が上昇する恐れはありませんが、むしろ血糖が下がり過ぎ、昏倒してしまうのが心配です」

■酔っぱらった日には入らないほうがいい?

「体が温まって血液循環が良くなり、さらにアルコールが全身に回るので転倒のリスクが高まります。全身に大量の血液が送られ、脳や心臓の血流が減少するので、脳貧血、不整脈、心臓発作などを起こす可能性もあります。一時的に血圧が下がり、入浴で一層血圧が下がって、気を失っておぼれてしまう恐れもあります。できれば2時間ほど空けてから入浴するようにしてください」

■風邪をひいている時はやめた方がいい?

「本人に入浴する元気があるなら、入浴して構いません。熱い湯は体力を消耗するため、ぬるめの湯で。風呂から上がってすぐに布団に入ると、体温がこもって寝汗の原因になりかねないので、体のほてりを十分に取ってから布団に入るようにしましょう」

■寝つきよくするのに風呂は役立つか?

「就寝時に体の深部の体温、つまり深部体温が低下することで入眠モードに入ります。そのためには、いったん体を温めるのが効果的で、風呂がうってつけです。入浴で深部体温が上がり、その後、下げようとする力が働いて深部体温が急降下するからです。具体的には、40度の風呂に15分入ると深部体温が0・5度上昇、60~90分かけて元に戻り、さらにその後も深部体温が下がります。このタイミングで入眠すると、よく眠れます。睡眠の質を高めるには、寝る1時間くらい前に湯船に漬かるのが一番です」

■朝風呂と夜風呂どちらがいい?

「朝、少し熱めの湯に短時間漬かると体も目覚めますが、朝は気温が低く体温も下がっているため、急に熱い湯に漬かると心臓に負担をかけます。睡眠の質を高める意味でも、夜に入浴することをお勧めします」

■入浴後すぐにクリームなどを肌に塗るべき?

「入浴で肌の保湿物質が流出し、肌が乾燥するので、クリームを塗った方がいい。風呂から上がると乾燥は急激なスピードで始まるため、できる限り早くにする。風呂上がりに保湿ケアをすべき制限時間は10分と、科学的に証明されています」

 今夜から役立てよう。

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