専門医が教える パンツの中の秘密

【陰部のおでき】毛包炎は「せつ」になったら受診する

写真はイメージ(C)PIXTA

 せつがさらに悪化して、炎症が隣り合う複数の毛包に広がると「よう」と呼ばれ、より強い痛みや発熱が出ます。軽度であれば皮膚を清潔に保つことで症状は自然と軽減しますが、せつの状態になったら皮膚科や外科を受診した方がいいでしょう。

 お尻の割れ目の上(腰側)が赤く腫れ、膿がたまる「毛巣洞(もうそうどう)」という病気もあります。毛深い肥満の人に起こりやすく、米国では振動するジープに乗る軍人に多いことから「ジープ病」とも呼ばれます。

 原因は、生えている毛が皮膚に突き刺さり、その下で毛が塊となって細菌感染の病巣をつくるのです。ひどく痛み、たまった膿が破れてパンツに付くことがあるので「痔瘻(じろう)」と見間違うことがあります。完全に治すには、手術で毛が入り込んだ部分をひと塊に切除する必要があります。

 良性腫瘍のひとつである「粉瘤(アテローム)」も外陰部にできることがあります。皮膚に盛り上がった大小のシコリができる病気です。粉瘤は毛穴の上部がめくれて皮膚の下に袋状の構造物ができ、袋の内部も表皮と同じ構造をしています。そのため本来、皮膚から剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が袋の中にたまってしまうのです。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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