手術はなくなる?心臓弁の交換や動脈硬化はカテーテルで治療

 僧帽弁閉鎖不全症の患者は、発症から5年程度で動悸や立ちくらみ、全身の倦怠感を引き起こす心房細動を発症して重篤な心不全に移行したり、ペースメーカーが必要な強度の不整脈を起こしたりする。心房細動による脳梗塞も多い。統計上は発症10年程度で9割が心臓死するか、外科手術が必要となるとされる。

 この病気を開胸手術せずにカテーテルで行うのが「経皮的僧帽弁接合不全修復術」だ。先端にクリップの付いたカテーテルを下肢静脈から挿入し、不具合の生じた2枚の弁をクリップで留め、逆流を制御する。

 心臓の左心室の出口にある弁が動脈硬化などの原因でうまく開閉できなくなると出口が狭窄する。これが大動脈弁狭窄症だ。うまく血液を送り出せないだけでなく、狭い出口に血圧がかかるため心臓の筋肉が肥大する原因にもなる。これを解決する新時代の技術TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)は13年に保険適用になった。傷んだ大動脈弁をカテーテルで人工弁に取り換える治療法だ。

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