Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

池江選手が退院 白血病治療のカギ握る移植前処置の重要性

退院した池江璃花子選手(C)日刊ゲンダイ

 白血病細胞と同時に正常な骨髄細胞も併せて叩くことで、新しい骨髄が根づきやすくなります。池江さんも、ひょっとすると受けたかもしれません。

 移植を行うと血液型が変わることがあります。それで、患者さんがA型からO型になっても、きちょうめんな性格が大ざっぱになるなど一般にいわれているような血液型に伴う性格が変化することはありません。

 移植に伴う体力の低下は相当ですが、白血病を克服して現役復帰したアスリートは少なくありません。今年は、J2新潟の早川史哉選手が白血病による戦線離脱から3年7カ月ぶりにピッチに戻ってきました。池江さんのパリ五輪でのメダル獲得が楽しみです。

【写真特集】池江璃花子 競泳パンパシフィック選手権2018

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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