病み患いのモトを断つ

東大大学院教授が解説 スロトレで認知症予防・がん抑制

4秒かけてゆっくりと(東大大学院教授の石井直方氏)/(C)日刊ゲンダイ

 3つ目が、内分泌器官としての働きだ。筋肉をよく動かすと、ホルモンのような働きをする生理活性物質(マイオカイン)が分泌されることが分かってきたという。

「体を動かすと、筋肉からマイオカインの一つイリシンが分泌されます。イリシンは、認知症予防の点で注目されているのです」

 イリシンが血流にのって脳に運ばれると、脳の神経細胞の働きを活発化し、細胞の新生や再生、シナプスの形成を促す役割の一端を担っているという。筋トレは、認知症予防の可能性を秘めているのだ。アルツハイマー型認知症のリスク因子のうち、運動不足は1・8倍で、高血圧や喫煙の1・6倍、糖尿病の1・4倍より高い。

 マイオカインは30種類以上見つかっていて、スパークは、大腸がんのリスクを抑えることが分かっている。あくまでも動物実験だが、3年前に悪性リンパ腫を克服した石井氏はこうも言う。

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