日本人はルミナルA型がもっとも多いと言われています。進行が比較的遅く、ホルモン療法がよく効くタイプです。ルミナルB型は、A型よりも悪性度が高いと言われています。ただしA型は細胞分裂が遅いため抗がん剤が効きにくく、B型のほうが効きやすいとされています。HER2陽性のタイプには、効果的な分子標的薬が開発されています。一方、トリプルネガティブの乳がんには、ホルモン療法が効かず、まだ有効な分子標的薬がないため、治療が難しくなります。
サブタイプは国立がんセンターの公式サイトである「がん情報サービス」にも載っていますから、常識のひとつと言ってよさそうです。ただし診療ガイドラインには、検査方法によってサブタイプが違ってくることがあるので「臨床で使用する場合には、十分な注意が必要」と書かれています。まだ「標準」とまでは言えないようです。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。