「歩幅」が狭い人は広い人より認知症の発症リスクが3倍高い

早歩きより大股歩き(C)日刊ゲンダイ

「この研究で明らかになったことは、歩幅が狭い状態のまま70、80、90歳と年を重ねている人の認知症リスクが高いということです」

 これまでも歩行速度(歩幅×歩調)が落ちると認知機能低下のリスクが高くなることは指摘されていた。しかし、歩幅と歩調のどちらが関係しているかは、谷口研究員が研究を始めた当時は明らかではなかった。そこで歩幅と歩調を分けて調査。歩幅が認知機能の低下や認知症リスクに大きく関係していることは前述の通りだが、歩調と認知機能の低下には因果関係が見られなかった。

 認知症になぜ歩幅が関係しているのか?

「近年の研究結果から、歩幅が特定の脳の部位の大きさや血流の状態と関係していることが報告されています。つまり、歩幅が脳の状態を反映しているのです。このことから、歩幅を広げれば脳と足の間の神経伝達が刺激され、脳の活性化が期待できます。すでに脳の変性が始まり神経回路に障害が発生していても、歩幅を広げて新たな刺激を加えれば、新たな神経回路を構築できる可能性は十分にあります」

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