「子宮筋腫」で生理がつらい…知っておきたい4つの治療法

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「生理の出血量が多い」「生理が10日以上続く」「生理の時にレバーのような血の塊がたくさん出る」「不正出血がある」「生理の時の下腹部痛や腰痛などがひどい」……。これらは、女性特有の病気の中で最も患者数が多い子宮筋腫に見られる症状だ。もし妻や恋人が子宮筋腫なら、どういう治療があるのか?

 子宮筋腫とは、女性の子宮の筋肉にできる良性腫瘍で、35歳以上の20~30%、40歳以上で40~50%に見られる。症状がなく経過観察でOKの人もいれば、治療をすぐ受けるべき人もいる。

 長年、子宮筋腫で、症状が「つらい」と自覚できていない人も。治療法には、「子宮筋腫核出術」「UAE(子宮動脈塞栓術)」「薬物療法」「子宮全摘術」などがある。

「日常生活に支障を来す症状があり、患者さんが治療の必要性を感じている場合、治療を選択する上でまず考えるべきは、『今または今後、妊娠を希望するかどうか』です」(東京医科大学産科婦人科学分野講師の伊東宏絵医師=以下同)

 妊娠を希望する人で、大量出血や生理痛といった子宮筋腫の症状を緩和したい人には、鎮痛剤や鉄剤などの薬による対症療法がある。これで対処しきれないようならば、子宮筋腫核出術。子宮筋腫だけを摘出する方法で、子宮は残るため、今後も妊娠可能だ。

「今は妊娠を希望していない。しかし今後は希望する」という人には、薬物療法の一種、ホルモン療法もある。女性ホルモンの分泌を抑えて子宮筋腫を小さくする。

「薬をやめると筋腫が再び大きくなるので、根本的治療ではありません。ただ、薬をやめたら妊娠可能です」

「子宮筋腫で妊娠しづらいと考えられるため、一時的に小さくしたい」「手術前に小さくしたい」「閉経したら子宮筋腫の症状はなくなる。だから閉経するまでホルモン療法で症状を抑えたい」といった場合に行われることも。閉経までの“つなぎ”でホルモン療法を選ぶ場合、“閉経は必ず○歳で終わる”というものではないので、結果的に「長期にわたってホルモン療法を受けたけど、よくならなかった」という展開も……。

■UAEは保険適用で体への負担が少ないのにあまり知られていない

 妊娠を希望しない人は、「子宮を残したい」「残さなくてもいい」のどちらかで、治療の選択肢が変わる。子宮を残したければ、ホルモン療法やUAEなどの手があるし、残さなくてもよければ子宮全摘術がある。

 なおUAEは、子宮動脈にカテーテルを使って動脈をふさぐ塞栓剤を入れ、血流をとめて子宮筋腫を徐々に縮小させる治療法だ。

「子宮筋腫は命にかかわる病気ではありません。その人の最終ゴールは何かを考えて治療を決めるべき。今は高年齢でも生理があれば出産の可能性がゼロではありません。本人は妊娠を希望しないと言っても、その点はかなり確認します」

“最終ゴール”といえば、再発の可能性も考えたいポイントだ。

 再発の可能性がゼロなのは子宮全摘術。それ以外では、再発の可能性がある。また子宮全摘術も、開腹もあれば、腹腔鏡手術のように腹部の傷痕が小さく、入院期間も短い方法もある。

 実は先に挙げたUAEだが、2014年から保険適用で、局所麻酔のため体への負担が少なく入院期間も短いというメリットがあるものの、子宮筋腫の治療の説明の際、提示されないケースがある。

「恐らく、UAEをやっている施設が少ない、UAEについて医師が詳しく知らない、放射線科が担当する治療法なので病院に導入しづらい……などの理由があるのでしょう。UAEに限らず、すべての治療にメリット、デメリットはある。本来は最初にすべての治療を横並びで説明されるべきですが……」

 気になる場合は、UAEも行っている医療機関に相談した方がいいかもしれない。

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