独白 愉快な“病人”たち

気付いたら管を何本もつながれ…国府弘子さん語る急性心筋梗塞

国府弘子さん(C)日刊ゲンダイ

 慣れてくるとむしろ、そのままのおいしさが感じられるようになって、お醤油などをかけ過ぎていたことに気付きました。

 以前はコンサートの打ち上げで、唐揚げをハイボールで流し込んでいたクチです。深夜に帰宅してタラコをひと腹食べることもありました。そうです、私は夫から「ギャランドゥ」ならぬ「ギョランドゥ」と呼ばれるほどの魚卵好きなのです。

「もし、もうダメと言われたらお玉でイクラとウニとタラコを思い切り食べて死んでやる」と思っていたくらい(笑い)。でも心筋梗塞から生還できた今、タラコひと腹はダメでも一切れ食べられるなら幸せじゃないかと思えるようになりました。

 100%取り上げられることに比べたら、少しの努力なんて簡単なこと……。そう思って食事制限を重ねていたら、何と体重がみるみる4キロ減ったのです。するとどうなったかというと、着られなくなって長くクローゼットの奥で冬眠していたお気に入りの衣装たちがどんどん着られるようになってきたのです。「災い転じて福となす」とはまさにこのこと。ピアニストにとって衣装は、自己を表現するためのとても重要な位置付けなので、本当にうれしくて楽しんでいます。

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