血管・血液を知る

血液は血管のほころびを治し、外敵の侵入を防いで監視する

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 血液は体を潤す川の水のようなもので、その流れがなくなると体は干からび、病気になってしまいます。血液を知ることは健康を維持するための原点なのです。それではまず、血液メカニズムの基本をおさらいしておきましょう。

 血液は血管の中を巡り、体の隅々に酸素や栄養を送り続けている赤色の液体です。これは100歳を越えても、一秒も休むことがありません。

 その血液は、体重の約13分の1を占めていますので、もし60キロの体格なら、約5リットルの血液が流れている計算になります。一升瓶にしますと、3本分ぐらいでしょうか。

 これだけの血液が、心臓から1秒間に40~50センチ、時速に換算すると1・4~1・8キロの速さで流れ出しています。高齢者がゆっくりと歩いている速度です。ただし血液が毛細血管に入ると、速度はゆっくりとした流れに変化します。こうして1日に流れる血液の量が、ドラム缶にしたら約40個分にもなります。

 血液は体の中を流れながら、血管のほころびを治し、外敵の侵入を防ぐ監視役という重要な役割も務めます。

 それではその血液に、どのような成分が含まれているのでしょうか。

 血液は赤血球、白血球、血小板といった細胞成分(血球)と血漿(プラズマ)と呼ばれている液体成分から成り立っています。割合は、45%が細胞成分で、残りの55%程度が血漿成分です。

 血球成分(血液細胞)の重量比は赤血球が96%、白血球が3%、そして血小板1%の割合で構成され、ほとんどが赤血球なので、赤い色をしているのです。

 他方、血漿成分はどうでしょうか。水分が90%、血漿タンパク質が7%、そのほかに微量の脂肪、糖、無機塩類で構成されています。

 圧倒的に多い赤血球ですが、大体どのくらいの量になるのでしょうか。

 その数は血液の1マイクロリットル中、男性で約500万個、女性はやや少なく約450万個。この赤血球に含まれるヘモグロビンが、肺で酸素と結合し、動脈血になり、体の隅々の組織に酸素や栄養を供給します。

 さらに、動脈から体の組織の中の毛細血管に至る全身への血液運搬が終わると、ヘモグロビンは二酸化炭素を取り込んで静脈血ができます。また、静脈血は臓器からの老廃物も含んで心臓に戻ってきます。ちなみに、このヘモグロビン(人間ドック学会による基準範囲=男性13・1~16・3、女性12・1~14・5g/デシリットル)が減ると貧血になり、ひどくなるとめまいや息切れなどの貧血症状が出ます。ヘモグロビンが下がらない低血圧による「脳貧血」などは本当の貧血ではありません。

(東邦大学名誉教授・東丸貴信)

関連記事