上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

女性に多い大動脈弁狭窄症の治療法は選択肢がいくつもある

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 以前にもお話ししましたが、心臓疾患には女性に多く見られる病気があります。女性の病気といえば、特有の体の構造から、乳がん、子宮がん、卵巣がんなどが代表的です。そうした病気に対しては、婦人科や乳腺科といった女性を対象にした専門科があり、遺伝や生活習慣といった発症リスクを上げてしまう要因や診断治療に関する知識が一般にも共有されています。病気に関する情報が広く認知されているため、自分で注意して定期的に検査を受けている女性もたくさんいます。

 ところが、女性に多い心臓疾患についてはそれほど周知されていないので、そこまで気にする人が少ないのが現状です。

 女性に多い心臓疾患の中で、最も多く見られるのが「大動脈弁狭窄症」です。血液の逆流を防止する大動脈弁が硬くなって開きにくくなる病気で、血液の流れが悪くなり重症化すると突然死するケースもあります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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