目の脇から脂肪が出て…眼窩脂肪ヘルニアってどんな病気?

清澤眼科医院の清澤源弘院長(C)日刊ゲンダイ

 ブログのこうした記述から「眼窩脂肪ヘルニア(眼窩脂肪脱)」が考えられるという。

「実際に坂上さんを診察したわけではありませんから、ハッキリしたことは言えません。しかし、眼窩脂肪ヘルニアの可能性はあると思います。ヘルニアとは、体内のある臓器が本来あるべき位置から脱出してしまった状態を言います。有名なのは臍ヘルニア(でべそ)、鼠径ヘルニア(脱腸)のほか、背骨のクッションである椎間板に起こる椎間板ヘルニアです。眼窩脂肪ヘルニアは、眼球の後ろにある脂肪組織が、白目(結膜)の下に出てきてしまう病気です」

 眼球は眼窩と呼ばれる、頭蓋骨のくぼみの中央にある筋円錐に埋まっている。その中には眼球以外に目を動かすのに必要な「外眼筋」と呼ばれる6つの筋肉、血管や視神経などのほか、その隙間を埋めるように脂肪組織が存在している。

「この脂肪は、眼球が常に自由に動くことを助けていて、目をぶつけた時など、眼球への衝撃を和らげるクッションの役割を果たしています。本来、外から見える結膜(白目部分)の下には眼窩脂肪が移動しないように、テノン膜と呼ばれる組織で隔てられています。ところが加齢により外眼筋が痩せ細るなどして眼球とテノン膜の間に隙間ができると、眼球奥の脂肪が、その隙間から這うようにして前方へ移動します。これが結膜下の眼窩脂肪ヘルニアです」

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