2019年末発売の日本発「腕時計型」血圧計が大人気の理由

商品の写真ではありません
商品の写真ではありません(C)scholes1/iStock

 冬は血圧が上昇しやすい季節だが、あまりの人気に現在在庫切れになっているのが、昨年12月にオムロンが発売した血圧計「Heart Guide(以下、ハートガイド)」。

 従来の血圧計と何が違うのか? それは、腕に巻く「まるで腕時計」のような血圧計である点だ。オムロン広報担当者によれば「血圧測定では動脈をカフ(バンド)でしっかり圧迫しないとだめなのですが、手首の動脈で、しかも狭いカフでそれを行うのは非常に難しいのです。だから手首に装着する腕時計サイズの血圧計を作るのは技術的に難しかった。苦労を重ねて出来上がったのがハートガイドなのです」。

 実際、手首での血圧測定の難しさは、2016年、国際高血圧専門誌「Hypertension」(電子版)にも発表されている。721人の男女に、上腕式血圧計と手首式血圧計の両方の正しい使い方を指導した後、自宅と診察室で自己測定してもらったところ、手首式を自宅で使うと間違った測定結果が出る傾向があることが分かった。上腕式と手首式の数値の差から、自宅では手首式血圧計でまったく正しく測定できていないと考えられる人は6割だった。

「ハートガイドは薬事承認を受けています。腕時計サイズの血圧計では日本で初めてです」(前出の広報担当者)

 ハートガイドは歩数や睡眠時間も計測でき、これらのデータはスマートフォン向け専用アプリで管理可能。

 最近、職場高血圧も問題になっている。職場のストレスの影響で、普段の血圧よりぐっと高くなることだ。東京健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師が2005年に東京都の職員265人を対象に血圧を調べたところ、健診の時は血圧が正常値だった人の23%が職場高血圧だった。自分の血圧は大丈夫、と思っていても、環境が変わればそうでないことも。

「朝晩の血圧測定は浸透しつつありますが、日中の血圧変動となるとそこまでではない。ハートガイドなら日中にも測定できるので、何をやったら高くなるのか、どう血圧が変動しているのかを知ってほしい」(前出のオムロン広報担当者)

 税抜き7万9800円と高額だが、健康のためなら高くない。「在庫切れ」がそれを示しているだろう。

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