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アメリカのがん死亡率が過去30年で29%低下したのはなぜか

ニューヨークのセントラルパーク(C)PIXTA

 さらに、最新のイメージング技術によりがんのステージ診断がより正確にできるようになったこと、侵襲の少ない手術の進歩、15年以降に始まった免疫療法も、死亡率低下に大きく貢献しました。

 皮膚がんの一種メラノーマ治療の進歩も、転移性がん患者の延命につながっています。免疫療法により20歳から64歳の患者の死亡率が7%、65歳以上に関しても5~6%下がったという数字もあります。

 一方、大腸がん、乳がんに関しては死亡率低下のスピードが下がっており、前立腺がんの死亡率はまったく下がっていません。

 また、喫煙率の低下とは逆にアメリカ人の肥満のさらなる進行が、新たながんの傾向を生み出しています。現在アメリカ人の7割近くが太り過ぎ、4割が肥満症という状況の中で、肝臓がん、腎臓がん、脾臓(ひぞう)がん、子宮がん、閉経後の女性の乳がん、55歳以下の大腸・直腸がんが増えてきていると、アメリカがん協会では警鐘を鳴らしています。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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