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風邪薬の服用法 ベストは「3大漢方から西洋薬へ」

総合感冒薬よりも特化した薬がベター
総合感冒薬よりも特化した薬がベター(C)日刊ゲンダイ

「咳がつらいときに」「節々が痛む風邪に」……。

 ドラッグストアを見渡すと、風邪薬のコーナーにはさまざまな商品が並ぶ。

 どれも当てはまりそうで、なかなか選ぶのが難しいが、赤坂山王クリニックの梅田悦生院長は「風邪のひき始めなら、漢方薬が効果的です」という。

 医薬情報研究所エス・アイ・シーの医薬情報部門責任者で薬剤師の堀美智子氏が言う。

「3大漢方薬の葛根湯、麻黄湯、小青竜湯は、いずれも体を温めることで免疫力を高め、症状を改善します。熱があっても寒けがあるようなタイプに効果的で、体が火照るタイプには不向きです。『あれ、悪寒がしたな』と思ったら、それが風邪のひき始めで、軽い悪寒で肩が凝るときは葛根湯を、インフルエンザのような高熱でも寒けがして節々が痛むときは麻黄湯がお薦め。小青竜湯は、特に水のような透明の鼻水を改善する効果が高く、花粉症をはじめアレルギー性鼻炎にも最適です」

 ぶるっとして「風邪かも」と思ったときが、服用のタイミングだ。熱っぽくなって高い数値の体温計を見て、「ヤバい、風邪ひいた」というときは、タイミングを逃しているという。

「葛根湯や麻黄湯が効いてくると、体がぽかぽかと温まってきます。その体温上昇は、漢方が効いてきたサイン。『熱が出た』と誤解してはいけません」(堀氏)

 のどの腫れや痛みがあると、体が火照るタイプの風邪になりやすい。そういうときは、五虎湯や桔梗湯などで体を冷ますと効果的だという。

 では、西洋薬の市販薬はどう使い分けるか。堀氏に聞いた。

「最近の総合感冒薬は、『のどに』『咳に』『鼻に』と具体的な効果を打ち出すのが主流ですが、たとえば『のどに』という総合感冒薬にほかの効果がないわけではありません。どれも、3つの成分が入っていて、PRしている成分が特に強調されているのです。特定の症状がつらいときは、総合感冒薬ではなく、それぞれの症状に特化した市販薬を選ぶ方がいいでしょう。不要な成分による副作用の恐れがありませんから。私がお薦めしているのは、初期の風邪は漢方薬で抑えて、残った症状を西洋薬の市販薬で抑える使い方です」

 注意点もある。

「たとえば、3大漢方に含まれる生薬のひとつ、麻黄は、エフェドリンが主成分。エフェドリンは、血圧や血糖値を上げる恐れがあり、漢方薬を購入するときは、薬剤師に相談することです。漢方と西洋薬との同時併用も、成分が重複するのでよくありません」

 漢方は先発で、抑えは西洋薬と覚えておこう。

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