がんと向き合い生きていく

「意思を尊重する」と言いながら既定路線は決まっている?

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

「いつでも考えを変えていいです」と言われても、話し合った記録を文書で残すわけだから、これをひっくり返すのはとても大変で、無理ですよ。「この前、『なにもしない』って希望しましたよね。ここに書いてありますよ」と言われるだけだよね。

 ◇  ◇  ◇ 

 2週間後、Aさんはセカンドオピニオンの返事を持って来院されました。

「小さいリンパ節は、よく見ると前のCTでもありました。PET検査をしてみましたが、問題はなく、再発は考え難いと思います。念のため、6カ月後のCT検査を見ていただければと思います」

 不安が解消され、Aさんは大喜びでした。

■本コラム書籍「がんと向き合い生きていく」(セブン&アイ出版)好評発売中

4 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事