日本人で良かった!公的医療保険

米国における乳がん治療の実際<3>医師は意見を述べるだけ

写真はイメージ

 Aさんの実感として、米国のがん治療の手順は、初心者がいきなりサバイバルゲームに参加し、どうにかこうにか一つずつ画面をクリアするようなものでした。プレーヤーとして自分の手術方針を決めていくのは当然ですが、保険会社との契約という制約が常について回ります。また、画面をクリアするためのAさんの決断が遅れても、日本のように医師が「腫瘍が大きくなるから早期に手術しよう」と決断して患者に勧めてくれることにはなりません。治療するもしないも、どのタイミングで行うかも、決断して手続きをするのも、あくまでも患者自身が行い、その結果もすべて患者が引き受けるのです。

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奥真也

奥真也

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

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