独白 愉快な“病人”たち

グラウンドに立ちたい…鈴木康友さん骨髄異形成症候群との闘い

鈴木康友さん(C)日刊ゲンダイ

「え? 血液のがん?」

 頭の中が真っ白になりました。

 念のためにセカンドオピニオンを受けたのが虎の門病院でした。白血病の症例数に加え、造血幹細胞移植の症例が多かったので、そちらで移植をお願いすることにしました。

 入院は18年2月半ば。告知から入院までの約半年間は徳島と東京を往復し、10日に1回ほどのペースで輸血をしながら、できる限りコーチを続けました。

 何しろ、移植をしても完治できるのは5割の確率。少しでも長くグラウンドに居たい。胸に込み上げてきたのは「またユニホームを着てグラウンドに戻りたい。40年間、野球をしてきたこの経験や技術を若い指導者に伝えたい、残したい。このままでは死ねない」という思いでした。

 医師によると、10人が移植を受けて7人が退院するけれど、2年以内に2人は再発や感染症などで命を落としてしまうそうです。

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