歯の疑問 ずばり解決!

口腔内の環境が良くなれば血糖値は下がるのか?

口腔内ケアはこまめに

 裏を返せば、歯周病治療をすることでTNF-αがつくられにくくなり、結果的に血糖コントロールが好転する可能性が高くなるわけです。

 印象的な30代の男性患者さんがいらっしゃいます。明らかに太っていて、「歯ブラシを持ってないのではないか」と毎回疑うくらい、いつもプラーク(細菌の塊)まみれでした。

 しかし、久しぶりに来院されたとき、激やせしていて本人と気づきませんでした。

 話を聞くと、「糖尿病と診断されて食事制限と運動で30キロやせた」とのこと。口腔内を見てみると、あんなにプラークまみれだったのがウソのようにきれいに管理されていました。ご本人は「特に口腔内ケアには努力していない」とおっしゃるので笑ってしまいましたが、彼を見て、糖尿病は歯周病に関与していることが実によくわかりました。

 1998年に九州大学が肥満と歯周病の関連について初めて報告しましたが、現在では今回お話ししたようにさまざまな事実がわかってきています。歯周病患者は糖尿病になりやすく、糖尿病患者は歯周病になりやすい、ということです。

(構成=小澤美佳)

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北沢伊

北沢伊

1977年7月8日、長野県生まれ。斉藤歯科医院院長。2003年に日本大学松戸歯学部を卒業。同年から同院に勤務し、13年から院長に就任した。若手歯科医師に向けたセミナーの講師を務め後進の育成にも取り組んでいる。日本口腔インプラント学会専門医。千葉県歯科医師会所属。

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