“貧乏ゆすり”に効果アリ 変形性股関節症の意外な治療法

「銀座医院」整形外科の齋藤吉由医師(C)日刊ゲンダイ

 歩き始めたり、立ち上がったりする際、太ももの付け根の前側が痛む。変形性股関節症は、股関節の関節軟骨がすり減ることで起こる病気だ。40~50代で発症しやすく、患者は女性が多い。軽度を含めた国内患者数は400万~500万人と推計される。治療は減量や運動、薬物といった保存療法がまず行われ、痛みが強くなると人工股関節設置などの外科手術が行われる。できれば運動の段階で症状を抑えたいが、今のところ科学的根拠が確立した運動療法はないのが実情だ。

 ところが近年、注目されている運動療法がある。「ジグリング」だ。何やら難しそうなネーミングだが、実は椅子に座った状態でつま先を床に着けたまま、かかとを小刻みに動かす運動を指す。いわゆる「貧乏ゆすり」だ。患者にジグリングを指導している「銀座医院」(東京・銀座)整形外科の齋藤吉由医師が言う。

「ジグリングを習慣にすることで、病期を問わず痛みが軽減し、すり減った関節軟骨の再生が促されます。これをレントゲン写真により世界で初めて証明したのが、私の恩師でもある久留米大学医学部名誉教授の故・井上明生先生です。2005年の日本リハビリテーション医学会で発表し、その後『有効だ』との声が上がり、多くの医師が取り組むようになったのです。今ではその有効性を科学的に検証するため、久留米大学を中心に9医療施設で多施設共同研究が行われるまでになっています」

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