感染経路として大きいのが母子感染で、浅野さんの母もHTLV―1感染者だったそうです。ウイルスは母乳に含まれていると考えられていて、母親が感染者だと、20~30%の子供が感染するといわれます。子供への感染を阻止するには、検査でウイルスの有無を確かめ、授乳をやめれば、リスクはほとんどありません。
■ウイルス感染が原因で潜伏期間は50年
輸血は、血液製剤の検査の厳格化で感染リスクはなくなりました。セックスで感染した後に発症したという報告もありません。
このウイルスの潜伏期間は30~50年と長く、若い方での発症はまれ。年齢とともに増加し、60歳くらいをピークに減少します。浅野さんと北別府さんが60歳を越えて発症したのは、この病気の特徴に合致するのです。
感染者は九州や沖縄に多く、北別府さんも鹿児島県出身。このエリアを中心に全国に120万人の感染者がいると推計されますが、発症するのは1万人に6人程度と少ないのです。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁