進化する糖尿病治療法

睡眠時間が短いと夕食後のカロリー摂取と体重が増える

写真はイメージ(C)PIXTA

 9日間、それぞれの睡眠パターンを取ってもらい、インスリンなどを調べたところ、「睡眠時間を5時間に制限」のグループでは、血糖を調整するインスリンが正常に働かなくなる「インスリン抵抗性」が高まり、夕食後のカロリー摂取と体重が増えていました。さらに、「5日間、睡眠時間を5時間に制限し、2日間、好きなだけ遅くまで寝てもらう」グループも、週末に睡眠時間を多く取ると夕食後のカロリー摂取は減少するものの、5時間睡眠に戻るとインスリン感受性が減少し、カロリー摂取量と体重が増えるという結果だったのです。また、高血圧のリスクも増やすという報告も多くあります。

 すでに糖尿病の人では血糖コントロールをよくするためにも、睡眠時間を7時間は確保してほしい。

 しかし、仕事でそれが難しい人もいるでしょう。そういう場合は、上手に昼寝を取り入れてほしいと思います。職場の昼休み、早めに昼食を済ませ、20分ほど昼寝を取るだけでも随分と違います。ぐっすり眠れなくても、目をつむっているだけでも、リフレッシュ効果を得られます。電車での移動時間などが多い人は、座っていられるなら、寝るか目を閉じるかして少しでも睡眠量を稼いでください。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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