セックスが痛い

痛いからセックスしたくないと言ったら、「浮気する」と彼

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 セックスをしないと男が離れる。性に関して比較的オープンな知人女性に自分の性交痛について相談したら、そういう答えが返ってきました。また、別の女性からは「痛いからセックスしたくないと言ったら、それなら俺は浮気すると返された……」という話を聞いたことがあります。

 男性にとっては「本気じゃない。一方的に拒否しないでほしいという気持ちの表れ」かもしれませんね。しかし、言われた側は傷つきます。その一言が、彼女の「セックス完全拒否」または「心を閉ざし仕方なくセックスに応じる」につながるかもしれません。

 しかし、痛くてセックスしたくないというだけで、なぜ浮気や離婚にまで発展するのでしょう。特に夫婦や長い付き合いのカップルで、そういう話をよく聞きます。

 付き合い始めたばかりのカップルだったら、違う展開になるのではないでしょうか? 男性側が「大丈夫だよ、セックスだけがすべてじゃない」「手だてがあるかもしれないから、病院で相談してみよう」などと励ましたり、2人で体位を工夫したり、グッズを活用したり……。なんとか一緒に性生活を楽しめるような解決策を探るのではないかと思います。

 でも長い付き合いになると、「私は/俺は、こうしたい」という自分の主張を優先しがち。痛い側は「つらいから理解してほしい」、我慢させられる側は「フラストレーションがたまる」。結果、思いやりに欠けた言葉を放ってしまうことにつながるのでしょう。

 長い付き合いだからこそ、言葉にはっきり出さなくても分かってほしい――。私も長年性交痛を抱えてきたから、理解できます。しかし、言わなければ伝わらないというのも、長年の経験で得たことです。

 分かってくれないと相手を責めても、状況は変わりません。性交痛に悩んでいる女性のみなさん、性交痛の痛みがどんなものか、男性が理解できる言葉で伝えてください。そして男性のみなさん、性交痛には性器のうるおい不足のほか、婦人科疾患の可能性があることも念頭に置いて、耳を傾けてください。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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