大流行している新型コロナウイルス。これまでの「コロナウイルス」とは違うため、誰もウイルスに対する免疫を持っておらず、ワクチンや特効薬も現段階ではない。とはいえ、手をこまねいているわけにはいかない。いますべきことは?
新型コロナウイルスに感染しても症状が出ない人(無症状病原体保有者)や軽い風邪症状の人もいる一方で、肺炎を発症したときの主な症状は、発熱、咳、息苦しさなど。重症化すると呼吸不全で死に至る。
ワクチンや特効薬がない以上、できることといえばまずマスクによる徹底予防だが、「マスクの使い方を間違えている人がほとんど」と指摘するのは、池袋大谷クリニック・大谷義夫院長。
「自分の顔に合ったマスクでないと意味がない。マスクから鼻を出すのは当然NGです。横から見て、鼻からあごまでしっかりと覆い、正しく頬にフィットするものを」(大谷院長)
マスクの表面はウイルスが付着し、時間が経つほど汚れていく。頻繁に交換することが鉄則。外したら捨てる。1日に数回新しいものに取り換える。
「私は診療日には1日20枚程度使いますし、休日でも外出ごとに取り換えるので3~4枚は使用します。外す時にはマスクの表面を触らず、ゴムの部分を持つようにしてください」(大谷院長)
■「1日に何枚も使い捨てで使うほうが効率的」
“普通のマスク”でも大丈夫なのか?
外来医療従事者が使うN95マスクは、スギ花粉の100分の1である直径0・3マイクロメートルの粒子を95%以上除去できるといわれる。これと、医療用マスクとを比較した最新研究では、インフルエンザの罹患率に差が認められなかった。
「N95マスクは高価で使い捨てではありません。一般の方が予防に使うなら、普通に売られているマスクを1日に何枚も使い捨てで使うほうが効率的で有効でしょう」(大谷院長)
WHO(世界保健機関)によると、新型コロナウイルスの発症者のほとんどは軽症だが、約20%で重症化し、致死率は2~3%程度(1月29日現在)。死亡者では高血圧や糖尿病、心臓や血管の病気など、免疫を低下させる持病がある人が多かったという。
生活習慣病をしっかりコントロールするのに加え、やはり日頃から免疫力アップに努めておくべきだろう。「『下半身の冷え』が老化の原因だった」の著者、イシハラクリニックの石原結實院長は、「免疫力を考える上で下半身の筋力を無視できない」と話す。
「人体の最大の熱産生器官である筋肉は、70%が腰から下の下半身にあります。そして体温の30%近くを下半身がつくっていて、加齢で下半身の筋肉量が少なくなると下半身が冷え、全身の体温も低下します。筋肉量低下で血液が心臓に戻りにくくなることも体温低下に追い打ちをかけます。体温が1度低下すると約30%免疫力が落ちるとされており、結果的に感染症、肺炎などのリスクが上がるのです」(石原院長)
なるべく歩く、階段を使う、デスクワーク中もこまめに立って動く、ランチは遠い店に行くなど、日常的にできる下半身の筋肉を増やす方法はいくつもある。石原院長が簡単にできる方法として勧めるのが、貧乏ゆすりと「万歳運動」だ。
「イスに座って、かかとを上げ貧乏ゆすりを行うと、太もも、特にふくらはぎの筋肉が収縮・弛緩し、血行が良くなります。貧乏ゆすりを3分続けると、20分以上歩いた場合と同じという研究発表もあります」(石原院長)
「万歳運動」は、両かかとも上げて伸び上がると同時に、軽く肘を曲げながら両腕で万歳をする方法。仕事の合間に何度も繰り返すといい。