がんと向き合い生きていく

「私、食道がんと言われた」ケンカ別れした娘にメールを送った

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 ある地方の田舎で育ったDさん(56歳・女性)は、高校生の頃から「人間ってなんだろう」「命ってなんだろう」などと考えることが好きでした。そして、東京のある大学の哲学科に進学しました。

 しかし、大学ではバンドとアルバイトに明け暮れる日々でした。それでも卒業できて、建設会社に就職。面接試験では、「あなたは哲学科卒業ですか。最も役に立たない科ですね」と言われ、思わず「はい」と返事をしてその後はしどろもどろになってしまい、「この会社にも入れてもらえないな」と思ったのに採用されたのが不思議だったそうです。その会社の経理を担当してすでに30年がたち、今は課長です。

 Dさんはすでに両親を亡くしていて、結婚して5年後に離婚を経験し、1人で娘を育ててきました。その娘は美容師になりましたが、Dさんとは性格や好みが違っているためよくケンカをしたといいます。結局、ささいなことで口論したことをきっかけに娘は家を出て、今はメールでの連絡だけになっているそうです。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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