血圧の上昇が悪影響を与える 室温が低いと「脳」が老化する

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(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

「暖冬だぁ~」と油断していたら、日本列島に寒波が押し寄せた。気象庁は北海道など北日本が大雪になると注意。東京は5日の千代田区の最低気温は2・4度だったが、けさは1・4度だった。

 本格的な寒さの直撃で気になるのが、最近注目の「室温が低いと脳が老化する」という説だ。慶応大理工学部の伊香賀俊治教授が高知県梼原町の40~80代の男女150人の脳をMRIで分析。それぞれの家の居間の温度を測ったところ、室温が1度低い人は脳の老化が2歳分進んでいることが分かった。家の中で寒い思いをすると脳が年を取るわけだ。「脳が若返る30の方法」(中経出版)などの著書がある医学博士の米山公啓氏が言う。

「医学的見地から言うと、65歳以上の高齢者は寒い場所にいると血流が悪くなって脳にブドウ糖や酸素が届きにくくなり、結果的に慢性的な脳の老化を招くということです。また、寒いと血圧が上がり動脈硬化が進むため、脳の血管が詰まったり破れたりする。いずれも脳にダメージを与えてしまいます」

 こうした理由から、寒さによる高血圧症がアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症を誘発する危険もあるそうだ。

 伊香賀教授の研究では、入浴の際の脱衣所の室温が15度の家と13度の家では住む人の健康寿命に差が出た。13度のほうが要介護認定を受けやすく、健康寿命が4年短かったというのだ。

 原因は寒い場所で裸になって収縮した血管が風呂の中で温まって一気に血管が広がること。米山氏は「高齢者が血圧が急激に下がって脳に血流がいかなくなり、心筋梗塞などで倒れることがある」と警告する。そうしたことからWHO(世界保健機関)は冬の最低室温を18度以上にするべきだと勧告している。

「暖房はストーブよりも居間全体を暖めるエアコンがいいでしょう。その場合、加湿器があると空気の乾燥を防ぎ、カゼなどのウイルスの動きを抑制できます。暖房を使わずセーターを重ね着する高齢者もいますが、加齢により自分で発熱できにくくなっているため体が温まりません。お茶やコーヒーのような温かいものを飲むほうがいい。エアコンを18度に設定しても実際はそれ以下のことがあるので、室温計で温度をチェックしてください。北海道の寒冷地でも健康な人が多いのは冬場の家の中が暖かいからです」(米山公啓氏)

 健康のためにやせ我慢せず、しっかり暖を取りたい。

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