ヨーグルトは牛乳に乳酸菌や酵母を混ぜることで発酵させたものです。発祥の地は欧州、アジア、中東など諸説あり、およそ7000年前とされています。日本では仏教とともに伝わり、「酪」の名で、寺院で使われたようです。明治に入ってからは飲み物でなく「凝乳」の呼び名で「整腸剤」として使われました。
ヨーグルトが世界的に普及したきっかけは細菌学者のイリヤ・メチニコフが「ブルガリア近辺に長寿者が多いのはヨーグルトを食べているからではないか」と発表したからです。イリヤは1908年にノーベル生理・医学賞を受賞した、ロシアの科学者です。日本でヨーグルトが飲み物として普及したのは第2次世界大戦後です。
その後の研究で乳酸菌を体内に取り入れると大腸菌などの悪玉菌が排除され腸内の環境が整う、乳酸菌によってタンパク質がアミノ酸に分解されて消化吸収されやすい形になるなどのメリットが報告されています。そのため食品メーカーは新たな研究をしてさまざまな新商品が出ていますが、実際のところどこまで効果があるか、まだ何とも言えません。ヨーグルトは「よく分からない、未知数」というのが私の正直な気持ちです。
その立場で私が言えることは、「必要以上に食べ過ぎない」ことです。よく、体に良いからと毎食のように食べる人がいますが、1日に100~200グラム程度でいいのではないでしょうか? 商品によっては「低脂肪」を売り物にしているものがありますが、私はわざわざそれを強調した商品を買う必要はないと思います。これまでもたびたび述べてきましたが、私は、健康に被害をもたらすような肥満の原因は脂質でなく糖質の過剰摂取であり、日本人は脂質が足りない傾向にあると考えています。ですから、ヨーグルトに含まれる脂肪摂取量を減らすことは必ずしも健康に寄与するとは考えていません。
また、ヨーグルトだけだと味気ないからとオリゴ糖に加えてバナナやハチミツなどを混ぜて食する人がいますが、オリゴ糖のほかにこうした糖質の多いものを混ぜたら通常の食事に上乗せされた糖質により、むしろ健康に良くないことも考えられます。
そこでお勧めしたいのがこんにゃくです。主成分のグルコマンナンは、体内で分解されてオリゴ糖になるからです。こんにゃくを一切れ入れることでゼリー感覚で食べることができます。
また、ヨーグルトは食後に食べるようにしましょう。空腹で食べると強い胃酸により、良い菌を殺してしまいかねません。
ドクター牧田 最強の食事術