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「人生を楽しむこと」が狭心症や心筋梗塞の死亡リスク減らす

穏やかに、楽しんで
穏やかに、楽しんで

 大規模な疫学研究の中には素人でも興味を引かれる論文がある。

 福島県立医大などが「心理社会的因子と循環器疾患との関連」について研究した論文は典型的な例だろう。

 それによると、「うつ症状が脳卒中および虚血性心疾患の発症と関連する」「怒りを内にためることが高血圧発症と関連する」「怒りが頚動脈硬化と関連する」「逆に人生を楽しむことが循環器疾患の死亡リスクを減らす」――などの報告がなされている。循環器疾患とは狭心症や心筋梗塞などの総称だ。

 中年サラリーマンが気になるのは、怒りと高血圧に関してのくだりか。

 50代ともなると、高血圧の薬を飲んでいるサラリーマンは珍しくない。なにしろ、高血圧の総患者数は993万7000人(2017年「患者調査」)もいるのだ。

 その発症に“怒り”が関連しているらしい。ストレス過多の時代だ。会社の人間関係に悩んだり、仕事をしない中年オヤジに“怒り”を感じている人はいないだろうか。朝夕の通勤ラッシュで、肩がぶつかったり、足を踏まれたりしてムカつくこともあるだろう。いや、隣近所の騒音や自分勝手な行動をとる住人に腹を立てることだってある。

 イライラやムカつきの原因は我々の周囲のどこにでも転がっている。それをため込むと――、高血圧発症に関連してくるとは穏やかな話ではない。

 もっとも、“人生を楽しむことが循環器疾患の死亡のリスクを減らす”のなら、何事にもカッとならずに、穏やかに暮らすすべを探した方がいい。それが、長生きのコツのひとつなのだ。

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