ようこそ!不老不死レストランへ

干しシイタケの嫌な匂いを除き栄養を残す調理法

蓋をして弱火で10分煮る(C)日刊ゲンダイ
生よりうま味が豊富なカラクリ

 生物としてのキノコは何に属するかご存じでしょうか。植物に似ているけれど、植物ではない。もちろん動物でもない。菌類という立派な“第三極”にある生物である。私たちが食べる部分は、植物でいうと花にあたる。季節が寒くなると開いて胞子を飛ばす。胞子は低温や乾燥に強い“種”。新しいニッチ(隙間)を求めて風に乗って広がる。茎や根にあたる部分は細い糸状になって地中に広がっているので見えないが、菌類の本体は、むしろこちらの方にある。

 菌類は植物ではないので自分で光合成してエネルギーをつくり出すことができない。なので、他の生物(主に植物)に寄り添って栄養を分けてもらう。ただし一方的に搾取しているのではなく、益もなしている。それは分解者としての作用だ。菌類の出す強力な分解酵素は、自然界では壊れにくい木材をいともたやすく分解し、自然の循環の中に戻してくれている。この分解作用によって土壌が豊かになり、他の生物の生育を支えることになる。

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