専門医が教える パンツの中の秘密

陰茎のしこり「痛み」も「かゆみ」もないのは同じだが…

写真はイメージ

 普段じっくりと自分のペニスを観察することはないかもしれません。しかし、セックスやマスターベーションのときは勃起しているので自身の形状はよくお分かりだと思います。そんなとき「おや」と、ペニスにできた“しこり”に気づく人がいます。その多くは「性病ではないか」と疑い、大騒ぎの末に受診することになります。

 ペニスにしこりができる病気は、性感染症では「梅毒」が代表的です。しかし、性感染症でない「陰茎硬化性リンパ管炎」という良性の病気もあります。どちらも痛みもかゆみもありません。

 まぎらわしいですが、梅毒のしこりの場合は「初期硬結(こうけつ)」といって赤く腫れたように硬く盛り上がり、やがて中心部に潰瘍を形成して「硬性下疳(げかん)」という状態になります。

 一方、陰茎硬化性リンパ管炎のしこりは赤くはならず、皮膚や粘膜がそのまま盛り上がったような見た目をしています。触るとコリコリしています。よくできる部位は、陰茎包皮内や陰茎本体、冠状溝(カリの部分)ですが、まれに亀頭部や陰嚢(いんのう)内にできることもあります。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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