そういう方のために前向きで穏やかな解決方法があります。前回の記事でもお話しした「静脈内鎮静法」(IntravenousSedation=IVS)です。親知らずの抜歯やその他の外科的な処置を行うときにリラックスして受けていただくための手段として「究極の無痛治療」「リラックス治療法」として世に広まってきています。
「笑気吸入鎮静法」というものもありますが、IVSの方がはるかに確実で安定した鎮静状態が得られます。
IVSは治療時のイヤな記憶が残らない健忘効果もあるのが大きな利点です。
ただ、薬の効き具合を正しく把握して観察するために、呼吸不全などで酸素が体内に運ばれなくなると低下する動脈血酸素飽和度と心拍数、血圧、心電図をモニタリングできる設備が必須になります。
冒頭で紹介した患者さんがこの方法を希望され、それで治療を進めたところ、まったく震えることなく穏やかに完了しました。
「今日は終わりです」と声をかけると「え!」と驚き、大変うれしそうに笑われました。僕は「今、折り返しましたよ」「あとは、縫って終わりですよ」などの声かけはしていたのですが、患者さんは薬の健忘効果ですべて忘れていたのでした。
(構成=小澤美佳)
歯の疑問 ずばり解決!