ドクター牧田 最強の食事術

「肉をたくさん食べると心筋梗塞や脳卒中になる」は間違い

しっかり肉を食べる(C)日刊ゲンダイ

 2013年に「ヨーロピアンハートジャーナル誌」に掲載された、筑波大学などが行った研究論文によると、肉をたくさん食べ、飽和脂肪酸の摂取量が増えるほど血圧が下がり、脳卒中と心筋梗塞の発症率は飽和脂肪酸の摂取量が一番少なく、炭水化物をたくさん食べている人たちに圧倒的に多く発症したのです。

 脂肪の摂取量が少ないと、肺や心臓の動脈の梗塞が進んで脳出血、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなるというわけです。

 研究は男女合わせて約8万2000人を対象にして、その食事の傾向と循環器疾患の発生率の関係を約11年にわたって追跡調査したものです。それぞれ事前の5年間における調査で脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患やがんになった人がいないことを確認したうえで追跡調査が行われています。信頼性の高い調査だと言えるでしょう。

 むろん、この論文も将来、新たな研究で否定される可能性はあります。しかし、それまでは、「肉などから得られる飽和脂肪酸の摂取量が少なく、炭水化物をたくさん食べた方が脳卒中や心筋梗塞の発症率が高い」というデータから考えて行動すべきだと思います。

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牧田善二

牧田善二

AGE牧田クリニック院長、医学博士、糖尿病専門医。1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで糖尿病の合併症の原因とされるAGEを研究。96年から北海道大学医学部講師、2000年から久留米大学医学部教授。03年から糖尿病をはじめとした生活習慣病および肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開院、延べ20万人以上の患者を診ている。著書に「医者が教える食事術 最強の教科書」(ダイヤモンド社)ほか、多数。

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