医者も知らない医学の新常識

寿命が短くなる可能性も…ビタミン剤の飲み過ぎは危険?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「健康のためにビタミン剤を飲んでいる」という人は多いと思います。ビタミンは体で作ることができない栄養素のことで、不足すると体の機能に問題が起こることは確かです。

 たとえば、ビタミンB1が高度に欠乏すると、体がだるくなって心臓の機能などが低下する脚気(かっけ)という病気になります。

 同じビタミンB群のB12は、神経の健康な働きのために必要なビタミンで、こちらも足りなくなると、認知症のような症状が出たり、手足がしびれたり、貧血になったりと、多くの症状や病気の原因となります。しかし、これは高度に欠乏した場合の話です。

 ビタミン剤の使用量は、結構大ざっぱに決められていることが多く、ビタミンB12は体の必要な量よりはるかに多い用量が、市販のサプリメントにも入っています。

 それでは、ビタミン剤を飲み過ぎることで健康上の問題はないのでしょうか? ちょっと気になる結果が、米国医師会雑誌の姉妹誌に掲載されていました。オランダでビタミンB12の血液濃度と、寿命や病気との関係を見たところ、ビタミンの血液濃度が高いほど、寿命が短いという関係が認められたのです。

 肝臓や腎臓などの内臓機能が低下すると、血液のビタミンB12濃度が増加するという関係があるので、ビタミンそのものが悪いとは言い切れませんが、ビタミン剤は不足していなければ問題ない、というくらいに考えた方がよさそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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