専門医が教える パンツの中の秘密

10万人に1人の精巣腫瘍 痛みなしで硬く肥大化すれば要注意

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 痛みやかゆみ、発熱などの自覚症状がない病気は放置されがちです。それが“陰部”となると、違和感があっても「恥ずかしいから」と医療機関を受診する機会が遅れてしまいます。

 見逃されやすい、そんな男性の陰部の病気で、最も注意しなくてはいけないのは「精巣腫瘍」です。タマ袋の中にある精巣(睾丸)にできる腫瘍で、ほとんどが悪性(がん)とされています。

 発生頻度は10万人に1人程度と比較的まれですが、他のがんと異なるのは20代後半から30代にかけて発症のピークがあるところです。この世代の男性に発生する固形がんの中では、最も多いがんです。

 精巣腫瘍は、基本的に痛みや発熱はありません。もし痛みがあれば「精巣炎」や「精巣上体炎」などの疑いが強いのですが、精巣腫瘍も約10%が痛みを伴うとされているので油断は禁物です。

 では、どんな症状に注意すればいいのかといえば「無痛性の精巣腫大」です。片側のタマの一部が硬くゴツゴツしていたり、片側のタマ袋全体が腫れて大きくなったりする症状です。無痛性の精巣腫大を主症状とする病気には、「陰嚢(いんのう)水腫」という病気もありますが、その場合にはタマ袋を触るとブヨブヨと軟らかいところに違いがあります。

1 / 2 ページ

尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

関連記事