上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓疾患を抱える人は新型コロナウイルスに細心の注意を

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 ウイルス自体もマスクを通過する大きさのため、飛沫感染を防ぐという意味では、マスクにそれほど高い効果はありません。マスクはウイルスが付着した手で口を触る行為を防いだり、鼻や喉の粘膜を保湿してウイルスを侵入しにくくするためのものだと考えたほうがいいでしょう。

 感染予防の基本は「手洗い」の徹底で、付着したウイルスを洗い流して体内に入れないことがいちばん重要です。さらに栄養と睡眠をしっかり取ることも効果的で、一般的な風邪やインフルエンザに対する対策と同じといえます。

 もっとも、心臓疾患を抱えている人はより注意が必要です。COVID―19そのものが心臓に悪さをする危険はほとんどありませんが、肺炎を招くことで心臓疾患が重症化して死に至るリスクが高くなってしまいます。インフルエンザもそうですが、ウイルス性疾患は血圧や心拍数をアップさせるため心臓に大きな負担がかかるのです。発熱によって生じる脱水症状も心臓には大敵です。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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