上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓疾患を抱える人は新型コロナウイルスに細心の注意を

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 また、手足口病などを起こすコクサッキーウイルスのように、ウイルスが心臓の筋肉に感染して炎症を起こす特発性心筋炎を発症しやすくさせる可能性もゼロとはいえません。

 心臓疾患がある人は、先ほどお話しした手洗いなどの感染予防対策に加え、感染者と接触する機会を減らすために、なるべく人混みに近寄らないことや、外国人観光客が多いエリアへの外出も避けたほうが望ましいといえます。

 ちなみに病院側としては、1人でも院内感染者を出すわけにはいきません。スタッフは感染予防(標準予防策+飛沫感染予防策+接触感染予防策)を徹底しているのはもちろん、患者さんの発熱の状況をしっかり確認して、疑わしいと思われる場合は声をかけて、可能性が高ければすぐに隔離します。

 また、受診希望日から14日以内に湖北省、広東省、河南省、湖南省、安徽省、江西省、浙江省、重慶市を訪問した人で、37・5度以上の発熱と咳などの呼吸器症状がある場合は、必ず受診前に相談してもらうような体制を整えています。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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