がんは陽子線で治す 普通の放射線と何が違う?医師に聞く

筑波大学付属病院陽子線治療センターの櫻井英幸部長(提供写真)
体にも懐にも優しい 誤差のない放射線治療

 また、陽子線治療は年々短期間化が進み、通常のX線治療の半分の期間で治療が進んでいるため、働きながら治療できる。公的保険適用で高額療養費制度が利用できる一部のがんの陽子線治療は1回払いなので費用的にも安くなるという。

 つまり、陽子線治療は体にも懐にも優しい、高い治療効果が得られるがん治療法というわけだが、有効性がとくに認められているのは公的保険適用の小児がんだ。小児は放射線の影響を受けやすく、一定以上照射するとその後の骨の成長、知能発達、内分泌機能などに影響が出る可能性があるうえ、放射線治療後の2次がんの発生リスクが高い。陽子線治療はそうしたリスクを大幅に軽減してくれる。

 子供に安全なら大人にも安全な治療がいいだろう。陽子線が得意とするがんは公的保険適用の骨軟部、頭頚部、前立腺以外に、肺、肝臓、膀胱、食道、膵臓などの原発がん、直腸がん手術後の骨盤内再発や、少数の転移性腫瘍(肝転移、肺転移、リンパ節転移)などがある。

3 / 5 ページ

関連記事