がんは陽子線で治す 普通の放射線と何が違う?医師に聞く

筑波大学付属病院陽子線治療センターの櫻井英幸部長(提供写真)

 食道がんにおけるX線と陽子線治療の効果を比較した米国の論文では、生存曲線は陽子線群が上をいく。心臓や肺の毒性が少なく、免疫も侵されないからだ。

 肝臓は放射線に対する感受性が高いため、もともと陽子線治療への期待は高く、現在は先進医療に指定され、公的保険認定のための研究が進んでいる。肝がんの治療には肝切除、ラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓術などがあるが、2017年の「肝癌診療ガイドライン」では他の局所療法の適応が困難な肝細胞がんに対して粒子線治療を行ってよいとしている。

 同じく先進医療の対象である切除不能な膵がんは、X線(50グレイ)の全生存率が15・7カ月で、陽子線治療+温熱療法のそれは25・6カ月という研究報告がある。延命効果は明らかだ。

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