若さを保つためには何をどのように食べるかが重要です。同じように3食取っても食材と調理法によっては若さを維持できる人と老ける人に分かれます。
これまで人間の体を老けさせるものとして注目されてきたのは「酸化」=「サビ」でした。呼吸で取り入れた酸素の2~3%が活性酸素に変わり、細胞を傷つけ、老朽化させていくからです。
近年、注目を集めているのが、タンパク質が糖と結びついて劣化する「糖化」=「コゲ」です。その糖化により体内に大量につくられて、一度つくられると元のタンパク質と糖に戻ることがないのが「AGE」(終末糖化産物)です。この物質は体の中にどんどんたまっていき、肌のシミやしわといった老化だけでなく、がん、動脈硬化、骨粗しょう症、白内障、アルツハイマー病など加齢に伴い増えていく病気にも関係していることがわかっています。
AGEは、タンパク質とブドウ糖が結びつき高熱が加わると大量につくられます。そう言うと何やら難しそうですが、唐揚げ、ステーキ、パンケーキ、焼きおにぎりなどのように、こんがりと焼き色がつくときに生まれるおこげをイメージすればいいでしょう。このおこげが全身のタンパク質にたまって悪さをするのです。
AGEがたまりやすいのは全身のコラーゲン線維ですが、体の老化というと一番に思い出すのが皮膚でしょう。表皮・真皮・皮下組織の3層からできていて、特にAGEがたまりやすく老化しやすい場所が表皮と真皮をつくるコラーゲン線維です。ただし、表皮のタンパク質は40~50日で新陳代謝により総入れ替えされるため老化の影響は出にくいのですが、肌の奥底にある真皮や血管をつくっているコラーゲン線維は新陳代謝で入れ替わるまでに平均14~15年かかります。つまり、老化しやすい場所ということができます。眼球の水晶体を構成するクリスタリンや関節軟骨をつくるコラーゲンに至っては一生入れ替わりませんから要注意なのです。
この恐ろしいAGEは毎日少しずつ体内の化学反応により生まれ、食べ物にも少量含まれています。その多くは腎臓によって尿と共に排出されますが、腎機能が弱っている人は特に多く残ってしまうのです。
AGEの含有量の多い食べ物はフランクフルトソーセージ、ベーコン、フライドポテトです。同じ食材でも調理の仕方によりAGEの量は違ってきますが、高温で焼くのが一番いけません。特にフライドポテト(ポテトチップスも)はAGEの中でも発がん性が高く害が大きい「アクリルアミド」が大量に含まれ、最も良くない食品です。
ドクター牧田 最強の食事術