遺伝子治療薬はここまで来ている

新型コロナ検査で使われるPCRはDNAを増幅させる偉大な技術

乗船者のものとみられるスーツケースを運ぶ関係者(C)共同通信社

「加熱―冷却」を1回行うと、DNAは2倍に増えます。となると、この工程を11回経ると1つのDNAが1024倍に増えるということになります。このようにDNAを増幅できるようになったことで、それまでは検出が難しかった微量なウイルスでも検出することができるようになったのです。また、PCR法を応用して「微妙なDNAの違い」も検出することができるようになりました。これによって、たとえばコロナウイルスの従来型と新型の微細な変化を検出して区別できるようになったのです。

 インフルエンザのように、コロナウイルスでもこのPCR検出技術がキット化され、迅速に検査ができるようになることを祈るばかりです。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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