独白 愉快な“病人”たち

武東由美さんは出血性膀胱炎から腎臓の“異常”が見つかった

ミセスモデルの武東由美さん
ミセスモデルの武東由美さん(C)日刊ゲンダイ

 ある日、何の前触れもなく、いつものようにトイレに行ったら、尿がロゼワインのようなピンク色だったのです。びっくりしてかかりつけのクリニックを受診したら「出血性膀胱炎」と診断されました。それが2017年の夏のことです。

 疲れていたとか、お腹が痛かったとか、そういう兆候は一切ありません。その時の出血性膀胱炎は、お薬を服用して2週間ほどで治りました。ところが、それがその後に「膀胱がんや腎臓がんの疑い」という事態に発展したのです。

 初めての血尿から1カ月後、年1回の子宮がんの検診を受けに神戸の病院に行った時のことでした。実は今から12年前、大阪に住んでいた頃に、「子宮頚がんの危険度4」と言われたことがありまして、神戸の病院で検査を受けたのです。結論から申し上げれば何でもなかったのですが、それ以来、年に1回、検診に通っています。

 17年の検診の日にまた血尿が出てしまい、そこで先生に「先月、出血性膀胱炎と言われて治療したのに、また血尿です」と相談してみたのです。すると「毎月はおかしいから大きな病院で検査を」と言われまして、とりあえず東京に戻って普段から通っているクリニックで相談しました。

 そこで「膀胱がんと腎臓がんの可能性はある」と言われ、東京医療センターを紹介されました。結果、異常はなかったのですが、後日、クリニックの先生が「あの時は90%そうかと思った」と言っていました。

 東京医療センターはとても大きな病院で、私が案内されたのは泌尿器科でした。

 事前に膀胱内視鏡検査ができるクリニックで検査をし、その結果を持参しましたが、「念のため、うちでもやります」と言われ、短期間に2度も膀胱内視鏡検査を受けました。他にもレントゲンやCT、心臓内科や別の科にも回されて、あれこれ検査をしたのです。けれど、異常は出ませんでした。

 医師いわく「何もないことを証明するのは大変」とのことでした。

 可能性のある重大な病気を次々に消去していき、最終的に残ったのが「遊走腎」と「ナットクラッカー症候群」でした。私の血尿の原因はこれだったようです。

 遊走腎というのは、寝ている状態から立ち上がった時に位置が大きく下垂する腎臓のこと。普通の人は一時的に下がっても元に戻るそうですが、私の場合は12センチも下がってしまうそうです。

 ナットクラッカー症候群は、左腎の静脈が隣接する動脈に挟まれることで左腎の内圧が上がって血尿が生じる状態です。要は、遊走腎によってナットクラッカー症候群が起こりやすい体質のようで、「病的な状態ではないので、うまく付き合っていくしかない」と言われました。

■血尿に慣れ過ぎて大きな病気を見逃してしまうのが怖い

 次の夏で出血性膀胱炎と診断されてから丸3年になります。おかげさまでこの1月の検査でも異常なしでした。でも、今も時々、血尿はあります。もう、「またか」程度にしか思わなくなってしまいましたが、医師に言わせると「血尿に慣れ過ぎて、大きな病気を見逃してしまうのが一番怖い」そうです。

 だから「1年に1回でいい」と言われた検診をあえて半年に1度にしてもらっています。

 子宮頚がんを検査していただいた神戸の病院からも、「もう10年経過したので東京の病院でもいいですよ」と言われたのですが、私はあえて神戸まで通っています。いつでも行ける東京の病院に替えたら、どんどんサボってしまいそうな気がするからです。

 1年先であっても「何月何日は神戸」と予定を入れるからこそ、10年以上サボらずに通えているのです。ついでに大阪に嫁いだ娘に会ったり、昔からお世話になっている奈良の歯科にも寄ってくるのがいつものコース(笑い)。恒例行事みたいになっています。

 こんなふうに熱心に検診に通うようになったのは、子宮頚がんの一件があってからです。最初に「子宮頚がんの危険度4」と聞いた時は、クラクラして意識がなくなりました。そのくらい衝撃的で怖かった。

 子宮頚がんの検査で何も見つからないと、次は「子宮腺がんかもしれない」となって、組織を調べるために円錐切除という手術もしました。これは余談ですが、術後、かさぶたが剥がれる際、大量出血をして外出先のホテルに大量の血痕を残すという“事件”もありました。円錐切除後にはあり得ることだと聞いていましたが、あれはショックでした。

 今はネットで何でも調べられる時代です。でも自己判断はせず、病院を受診することをお勧めします。

 特にこの年になったら、何でも話せるかかりつけ医を1人は見つけておくのがおすすめ。大きな病院も1つかかりつけにすると、いろんな科に回してもらえるから便利ですよ。

 それから、トイレットペーパーは絶対に白無地! かすかな異変に気付くためには白無地がベストです。

(聞き手=松永詠美子)

▽むとう・ゆみ 1960年、島根県生まれ。2010年に長年の友人だったギタリストで俳優のモト冬樹さんと結婚。その後、夫婦としてテレビ出演したのがきっかけでモデル事務所に所属。ミセスモデルとして雑誌や広告などで活躍するほか、熟年結婚などをテーマに講演活動もしている。司法書士、福祉住宅コーディネーター、個人情報保護法保護士、宅地建物取引業者、ヘルパーなどの資格を保有。ブログ「MOTOちゃんとのはっぴぃな毎日」が人気を博している。

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