がんと向き合い生きていく

“効く”という根拠がない治療を勧めるわけにはいかない

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 靴販売店員のCさん(43歳・女性)は、ある病院から診療情報提供書を出してもらって、セカンドオピニオンとして相談に来られました。肺がんの手術を受けた後、胸部X線写真やCT画像では両肺にたくさんの丸い転移がありましたが、何も症状はありません。

 Cさんは、担当医から「もう治療法がない」と説明を受け、それでも何か治療法があるのではないかと期待して来られたようでした。

 診療情報提供書によると、これまでに化学療法、分子標的治療、免疫チェックポイント阻害薬など標準的な治療はしっかり行われていました。たしかに、もう治療法はないのが現状です。

 Cさんは自分でいろいろと調べられ、質問をノートに書き込んで来られました。そして、こんなやりとりをしました。

 ◇  ◇  ◇ 

Cさん「ビタミンC大量療法は?」

1 / 5 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事