私は、Cさんが手術を受けた時のがん組織を使う「遺伝子パネル検査」についてもお話ししました。ただ、遺伝子パネル検査によって効く薬が見つかる確率は決して高くはありません。薬が見つかっても、保険適用でない可能性もあります。それでも、Cさんは検査を担当医にお願いしてみたいとのことで、紹介医への返事に希望されている旨を書くことを約束しました。
「ありがとうございます。こんなに話せて、分かってもらえて良かったです。すっきりしました」 Cさんにそう言われた私は、「え? あれもダメこれもダメで、何も見つかっていないのに、良かった、すっきりしたと本当にそう思えたのだろうか?」と思いながら、「早く新しい治療法が見つかるといいですね。病気が進まないのを願っています。応援しています」と答えました。
私の方でもさらに治療情報を探すことにして、3カ月後に連絡する約束をしました。Cさんは、にっこりほほ笑んで、うなずいて診察室を出て行かれました。
がんと向き合い生きていく