医者も知らない医学の新常識

新型コロナ感染拡大防止 なぜ「ここ1、2週間が最重要」か

全国の小中高校や特別支援学校を臨時休校にするよう要請すると表明した安倍首相(C)共同通信社

 現在の感染対策は、症状のある患者さんを診断し、それから濃厚接触者を割り出して追跡する方法が主体です。しかし、この方法が有効なのは、無症状期間の感染が少なく、基本再生産数が高くない場合です。最近の研究では、基本再生産数が2・5で40人の患者が発生した場合、無症状からの感染が全体の1%を超えると封じ込めはできない、という推計になっています。要するに、今の状況が少しでも悪くなれば、今の方法での封じ込めは不可能ということになり、より国民の生活を制限するような方法を取らないと、感染拡大を防げない事態となることを覚悟しなければならないということです。

 この先、基本再生産数が減少するかどうかが、天王山といえるのです。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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