独白 愉快な“病人”たち

岸あさこさん 世界でもまれな乳がんで「終わった」と思った

岸あさこさん(C)日刊ゲンダイ

 誰もが初めは緊張しています。手術を控えて失ってしまう胸を写真に残そうと考えていらっしゃるので、来るなり号泣される方もいます。でも、乳がんを経験した者にしかわからないいろいろな話で盛り上がり、いつしか笑顔になっていくのです。そして「私も岸さんみたいになれるんですね」とスッキリして、写真とともにお帰りになります。

 私にとって料理教室の先生がそうであったように、今度は私が誰かの良きお手本になれたらうれしいと思っています。

 (聞き手=松永詠美子)

▽きし・あさこ 1969年、東京都生まれ。正看護師、衛生管理者、民間保険会社医学的アンダーライターなどを経て、オーストラリアに留学。ニューサウスウェールズ大学医学部大学院卒業。帰国した2017年に乳がんが発覚し、治療中、18年にゴーウィ株式会社を設立した。医療にまつわる知識と自らの乳がん経験を生かし、乳がん手術前後の胸の写真撮影と心のケアを兼ね備えた「ブレストキャンサーポートレート」スタジオを都内で開設。乳がん予防啓発活動の講演も受け付けている。https://breastcancerportrait.com/

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